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地元国公立医学科に強い全国の高校(2023)

May. 20, 2023 大学合格戦略

岡山大は地域枠推薦を全国最少規模の4名しか採らず、県内の高校が多数合格させるのが困難な医学科だ。今年は浪人生の奮闘で岡山朝日の合格者が15名(現役7名)に達したが、実は朝日高から前回15名以上岡山医に合格したのは17名合格した1973年まで遡る。トップ公立校でも合格者15名に到達するのに50年(総合選抜時代を考慮しても25年) の年月を要したことを見ても岡山医に多数合格させることがいかに難しいか理解できよう。なお全国には最多で30名前後定員がある地域枠(地元出身者専用入試)も活用して地元の国公立医学科に15名以上の合格者を出した高校が24校あった(◎は私立、△は国立、防衛医大除く)

2023年度国公立医学科合格者数( )は前年度実績:
札幌南47名↑(43名):札幌医大20名
青森17名=(17名):弘前大15名
弘前21名↑(17名):弘前大17名
秋田19名↓(23名):秋田大18名
新潟41名=(41名):新潟大21名
仙台第二52名↑(36名):東北大19名
富山中部23名↓(31名):富山大19名
△金大附21名↓(33名):金沢大15名
◎東海100名↓(123名):名大33名
膳所29名↑(20名):滋賀医大19名
◎洛南70名↑(67名):京大(地域枠無し)15名
◎東大寺学園58名↓(68名):奈良県医大16名(京大も18名で1位)
◎智弁和歌山42名↑(33名):和歌山県医大19名
岡山朝日31名↑(29名):岡山大15名
高松25名↓(26名):香川大15名
松山東21名↑(19名):愛媛大18名
◎愛光59名↑(47名):愛媛大25名
◎久留米大附設68名↑(64名):九大(地域枠無し)29名
◎青雲55名(50名)↑:長崎大27名
熊本56名↑(42名):熊本大28名
大分上野丘27名↓(29名):大分大18名
宮崎西23名↑(21名):宮崎大17名
鶴丸38名↑(25名):鹿児島大32名
◎昭和薬大附34名↓(47名):琉球大20名

これらから今春の傾向を分析してみると、
★地元に特化した公立校が合格者を増やした
地元の国公立医学科に15名以上合格させた高校数は昨年の21校から24校へ増加、東北の青森・秋田、北陸の富山、四国の愛媛、九州の鹿児島などのトップ公立校では国医合格者のうち地元医学科が占める割合が8割を超える地元ドミナント戦略だった。
★最上位の私立中高一貫校が強かった
関西では東大理3に15名、京医に17名、阪医に9名と最難関医学科を無双した灘高校、中四国では昨年比10名以上合格者を増やした愛光、九州私立御三家の久留米大附設、青雲、ラ・サールなど各地域のトップ私立中高一貫校が合格者数を伸ばした。灘が理3志向か京医志向かでその年の難易度が変わるくらいトップ校の影響力は大きい。
★合格者数を減らす名門高校が散見された
今年の生徒は医学科よりも東大志向で昨年の16名から36名へ東大合格者を倍増させた甲陽学院の国医合格者は昨年の60名から33名へほぼ半減した。中四国では土佐高が昨年の33名から21名へ、広大附属が32名から21名へと激減、昨年度最多だった地元広島医の合格者が18名から1/3の6名まで減った。甲陽学院の場合は東大と国医志望者のバランス変化だったが、共学トップ校の不振は衝撃的だ。男子校トップの広島学院も低調で広島市では医学科浪人が多数生じた模様。今春は東大シフトした女子校新御三家の豊島岡女子や甲陽学院レベルが医学科志向に回帰すれば実力的に各校20名以上は合格者数を増やせるので、今年度入試の変動要因となるだろう。

留年なしの医学科6年間で最高約4700万円かかる私立医大と比べ学費が約350万円と格安な国公立医学科の人気は根強い。人気が続く理由は新型コロナウイルスに関する連日の報道で高校生の医療への関心が高まったこと。もう一つの要因としては3年にわたる移動制限で地元志向が高まっている側面がある。東大や京大に進学しても将来の進路が見通しにくい社会となった中、地方でも安定して高い収入が得られる医師の人気が高まっているのも医学科志望者が増えている要因だろう。

今年の国公立医学科入試は本当にどうなるのかわからない。地方国立大学合格には命となる共通テストが翌年新課程入試に変わり、万一失敗すると受験者人口が増える現高2の学年との競争に巻き込まれるので「浪人回避」の動きが強まることは確実だ。旧帝医学科などの突き抜けた層は変わらないだろうが、その下の難関医学科を目指してきた層が、安全志向で落とし合って地方医学科では玉突き競争激化が予想される。灘、桜陰など鉄緑会で高校課程を3~4周こなした強豪たちも新課程になる前に決めたいと考えて地方国立医学科まで落とす人が続出するだろう(今春も灘高から徳島医に降りてきて県内生が犠牲になっていた)。現役合格を勝ち取るには情報戦を制し、適切な出願校を選んでいくなど受験戦略が極めて重要になってくる。

共通テスト元年の21年度は岡山朝日から岡山医に4名(現役1名)しか合格できなかった学年(国医15名現役9名)で、第1期生を香川医へ必死の思いで現役合格させた当塾は決して油断はしていない。今春の津山中高は前年比6名減らして国公立医学科合格者ゼロ、中四国の名門校でも高知の土佐が前年比12名、広大附属が11名も減らすなど、紙一重の差で合否が分かれる激戦を経験してきて医学科入試の厳しさを十分に理解しているからだ。