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今年度の国公立大学入試を終えて

Apr. 13, 2024 大学合格戦略

昨年は前期入試の最後を飾る東大・京大の正午同時発表で入試を終えたが、今年は共テ高得点で国立後期入試で受かりそうな生徒さんがいたので3月後半まで戦った。結果として愛媛大・宮崎大など国立医学科へ計2名、1期生の雪辱戦だったお茶の水女子大へ念願の合格者を出すことができた。全員合格を目指しているが、塾生の志望大学のレベルが高いので毎年紙一重の戦いとなる。生徒数=売上高と割り切れる大手塾さんがある意味羨ましい。私の場合、奨学金で高校・大学・大学院と海外留学させてもらった者としてお返しの気持ちで塾をやっている。生徒さん、ご父兄と同じベクトル(生徒さんの現役合格)を向いていけるかでご参加していただいており他塾のように生徒数を追うことはしていない。

来年は12年毎の学習要領改訂に伴う情報Iの必須化、数学、地歴・公民での履修内容の組み替えという入試改革第2弾の前年ということもあり、理系最難関の国公立医学科では四国の3つの医学科で約470人、九州の4つの医学科でも約430人の足切り退場者が出る大激戦で浪人生を大量に確保できた予備校さんはよかっただろう。これら地方国立医学科の倍率が軒並み上がったのは「旧課程の今年で終わらせたい」受験生の安全志向が表れた結果だったのではないだろうか。

厚生労働省では再来年、現高1生が受験する2026年度入試からの医学科入学定員についての検討会で審議に入っている。入学定員など入試の変更事項は受験生に周知するため実施2年前に決定される。地方に偏在する医師不足に対応するため2010年から2020年までの10年間で医師数は約45000人増え、医師需給推計によると、2029年頃には医師の需給は均衡し、その後は人口減少に伴い医師過剰に転じる見通しとのことだ。

課題として医学科定員の抑制や期限付きの臨時定員(約740人)の東北・甲信越地方など医師少数県への割り振りなどを考える必要がある。私立医大の新設(東北医科薬科・国際医療福祉大で計240名増員)もあり、既に期限切れしている各大学の臨時定員を延長し続けるのは無理だろう。今の定員を維持すると2030年頃から医師の総数が過剰になると見込まれるためだ。医学科定員を減らしつつ地域毎の医師偏在に対応して配置するための対策が要されている。

一方、韓国では25年度入試から全国40校の医学科定員を一挙に2000人増の約5000人にする増員を強行した。日本と同様に医師の偏在が深刻で定員増の8割分を27の地方医大に配分する。医療界は医療の質の低下を招くと猛反発し研修医9000人以上が集団で辞表を提出。SKYトップのソウル国立大・延世・高麗大学の医学部教授会も辞表を一斉提出する大騒ぎ(軍医も出動)となっている。逆に日本では2020年頃からの厚労省の医師需給分科会では定員を増員すべきという発言はなく「医学科総定員の減員に向け方針を検討する」と段階的に調整していく方向だ。

当塾には国立医学科を目指す生徒が多い。現高3生が受験する25年度入試までは現行の臨時増員が延長されると決まったが、26年度以降の医学科定員をどうするのか?厚労省の議論が本格化している。臨時増員枠が多い地域枠合格者にも地元開業医の子弟など一般枠でも合格できる学力の生徒が多数おり、臨時増員が打ち止めになると今でさえ熾烈な競争がさらに激化することは必至である。VUCAと言われる一年先の予測も困難な時代においては、受かる大学を最も合格可能性が高い現役時に一発で仕留め、最速で医師になることを優先して欲しいと願っている。

講師は米国へ高校・大学院と留学、加えて3回の駐在で約20年生活してきた。大学時代専攻した英語学をベースに最近の入試英語で重視される英作文など実用英語もネイティブ級だ。当塾の真の強みはデータ分析力を駆使した合格ストラテジストとしての役割だ。去年浪人していた塾生が抜群の数学力を活かせる福島県立医大の推薦で合格してくれた。岡山の高校では考えつきもしない大学だが推奨校に2度目の挑戦をしてくれ合格を掴んでくれた。これ以上嬉しいことはない。

医学科受験は多くの変数が刻々と変動する情報戦だ、マーク式が得意なのか、記述式問題の方が得意なのか?易問低得点型が得意なのか、それとも難問低得点型の方が得意なのか?得意科目、不得意科目は何であるのか?昨年の受験情報と倍率の隔年現象、入試科目の変更点、3年に及ぶコロナ禍による人流の停滞などのカオスな情報を生徒さんの現役合格に活かしていかなければならない。