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東大理3を目指さなくなった灘高生!?

Aug. 12, 2023 その他

現役生の半数近くを毎年東大に合格させる東の筑波大附属駒場高校と並び西日本屈指の進学校として名をはせる灘高校は東大医学部医学科への進学課程である東大理3への合格を多く輩出することで知られていた。1学年220名の灘から2013年の理3合格者は現役・浪人合計27名だったが、19年は21名、22年は10名に減少。近年では代わって他の国公立医学科への進学者が目立つようになった。

23年度、同校から医学部医学科に合格したのは国公立・私立合わせて87名(うち現役50名)。東大理3の合格者は15名、京大医学科17名、阪大医学科9名、奈良県立医大(後期)6名、神戸大医学科3名、理3合格者は医学科合格者全体の2割を切り、西日本の国公立医学科を中心に合格者が分散していた「京大医学科と奈良県立医大後期をセットで受け、前期で京医落ちたら後期は奈良医で復活」という出願例が多く見られたという。

私立医大志望者の場合、ご両親が医師で子供さんも医師を目指すようになったケースが多く、地方国公立医学科の志望者は純粋な医師志望者が多い印象だ。一方、灘高校をはじめ偏差値至上主義の中学受験を経たトップ校から最難関大学を目指す子は少し事情が異なり「難易度頂点の山を登りたい」という思いが動機付けとなっている場合も多い。そのような人の場合「医学科受験」と「医師志望」とは必ずしも一致しなかった。

灘から理3に現役合格した学生は「医学部志望者の母数自体は昔と比べて変化ないと思う。ただ、かつての何が何でも東大理3という感じではなくなり、多浪を重ねて目指す人の話はあまり聞かなくなった。現役合格を優先して地方国公立医学科も選択肢の一つにする雰囲気になっている」と言う。

灘高生が必ずしも東大にこだわらなくなっているという変化は何を意味するのか?OBや予備校関係者への取材から見えてきたのは、学生の価値観が以前より多様なものになりつつあるということだ。灘高卒の東大医学部OBは「私たちの世代では周囲が東大理3を目指すから自分も目指すというピアプレッシャーが強かった。Z世代の生徒はやりたい研究があれば理1・理2または世界で活躍するためハーバードなど海外大学を目指す人もいて日本の未来に向けてはより健全だ」と語る。

全国偏差値トップを誇る灘高生の受験力はレべチであり、彼らが地方国公立大学医学科にまで降りてくるとその年の受験地図が書き換えられる。特に新たな学習指導要領下での新課程入試を翌年に控える今年度は最難関校の受験生でさえ「後がない」意識から、浪人を極力回避する超安全志向に傾くものとみられる。特に中四国の国立医学科は立地的にも侵略されやすい(今春は徳島医に落としてきて県内生が犠牲になっていた)ので、今年の出願校選定には例年以上の注意が必要だ。