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競争倍率からの出願動向分析(国立医学科編)

Feb. 26, 2022 大学合格戦略

今年は共通テストの難化、特に理数科目の最低平均点更新により波乱含みの展開で、おそらく自己採点直後の共テリサーチで入れた志願校から実際は変更して出願した理系の受験生は多かったとみられる。

特に定員が少なく、志願者間の学力差がない国立医学科の出願状況の推移を日々考察すると受験生の心理を反映した動きが見られた。どの医学科からランクを下げて、どこへ動いたか?真実は神のみぞ知るが、最難関の医学科受験の最前線で戦う者として、中四国の国立医学科志願倍率から幾つかの仮説を立ててみたい。

◎昨年の出願倍率を超えた医学科
★岡山大:5.5倍>(3.6倍)
岡大医学科は足切り倍率4倍以下で安定していたが、今年から2次重視配点(69%)に変えてきた。他の理系学部と共通の標準問題で対策し易そうに見えるが、受験生の多くは高得点を取ってくるので逆転は難しい。差がつくとしたら数学の大問1つと、採点の厳しい英語の自由英作文であろう。噂によれば岡大医学科は2次偏差値を上げたかったらしい。全国から2次力に自信がある受験生が集まり9年振りの足切り発動など狙い通りになったが、従来以上にミスが許されない激しい戦いとなるだろう。
★広島大:6.9倍>(5.3倍)
広大医学科は元々2次比率67%で、A配点だと理科が1200点となり理科強者には逆転可能な配点となっている。だが、広大には英検準1級で共テ英語みなし満点制度があり、広島医志願者が多い広島学院・ND清心・広大附属など地元有力校は高2で英検準1級合格させてくる「英検準1級なし」だと40点近くハンデを負うので要注意。広島医は7倍寸前に留まりギリギリ足切り回避された。
★香川大:6.6倍>(4.8倍)
香川大医学科も昨年2次比率を50%まで上げ、国語と社会の共テ比率を上げたので文系科目で得点できた受験生が集中したようだ。4倍を大幅に越え、前代未聞の200人以上の足切りが発動された。記述試験の採点にも手間がかかるが、去年香川医に合格した塾生が3時間近く面接で待たされたように500人以上の面接を1日で終えるのには限界がある。

◎昨年の倍率を下回った(共テ比率が高い)医学科
★徳島大:2.7<(3.3倍)
全国の国公立医学科で共通テスト比率が69%と最も高い徳島医には全国から共テ高得点者が1次逃げ切りを狙ってくる。傾斜配点で理科が1.5倍になるが今年は化学・生物が最低平均点を更新したこともあり、出願最終日まで神経戦が続いた。低倍率になったいうことは医学科志望者でも共テ得点率が低かったのだろう(駿台のデータでは国公立医学科定員の1/3以下しか8割超えていない模様)。
★鳥取大:3.7倍<(6.2倍)
鳥取医も56%と共テ比率が高い医学科だが昨年は2次数学が強烈に難化した。中四国でも岡山・広島大医学科志望以下のレベルは2次試験の難易度を見て出願してくるので、今年はかなりの受験生に避けられたようだ。

特に国立医学科志願者の半数近くを占める浪人生は配点変更、2次問題の難化などに敏感だ。1浪までは仕方ないとして、多浪スパイラルに陥るリスクを冒してまで、合格可能性の低い大学に挑戦できる浪人生は少ない。共テが取れていないのに共テ比率の高い徳島医や鳥取医に出すのには躊躇するのだろう。

同様に、2次が標準的で差がつかない岡山医で逆転を狙うのも浪人生にはプレッシャーになるだろう。昨年のように高よびさんが中四国最難関の岡山医に30名近くチャレンジさせてくるのか要注目だ。難関校の名古屋大(1.7倍)、大阪公立大(1.9倍)の低倍率が話題になっている。旧帝医レベルの受験層も共テが取れず出願校決定に苦慮した様子がうかがえる。

高よびさんがお得意の地域枠推薦の合格速報を出した。岡山医の推薦合格8名の内4名と好調なスタート。一方、広島医のふるさと枠18名のうち合格は1名のみ、やはり駿台・河合塾・長井ゼミの広島勢の壁は厚い。官立医大で唯一合格をキープできる防衛医大の正規合格は1次合格23名の内10名に留まったようだが、岡山医レベルに挑戦させる保険としてはいかがか。推薦対象となる1浪までの共テ高得点層を40名余り合格させたが、前期入試で上積みできる層がどの程度残っているのか注目したい。