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地元生が受かり易い国公立医学部医学科

Feb. 23, 2024 大学合格戦略

国公立医学部医学科の地域枠とは主に地方の医師不足対策として、勤務する地域や診療科など卒業後の進路を制限する代わりに、一般入試とは別枠で設けられている入試枠だ。地方に偏在する医師不足対策のため医学科の定員を増やし続けてきた半面、日本の人口減少に伴い2029年以降医師数は余ると推計されている。全体の医学科定員は減らしたいが地域偏在が著しいため、医師不足の地方に定着してくれる地域枠の割合を増やしたいというのが所轄する厚労省の思惑だろう。

今年の岡山医岡山県地域枠推薦(4名)は合格者1名しか出さない前代未聞の塩対応だったが、県内高校の卒業生のみに限定し他県から応募できない地域枠の定員が多い医学科は合格者中の地元占有率が高くなる。同じ旧六医大の長崎大が地域枠推薦で採った県内生30名は岡山大の30倍だった。地元校対象の前期一般・推薦・総合型入試で20名以上募集する全国の国公立医学科は次の通り、

旭川医:北海道特別選抜32名(推薦)+道北・道東特別選抜(総合型)10名
札幌医:先進連携研修枠75名(一般55名+推薦20名)+特別枠15名
弘前医:青森県枠27名+北海道・東北枠20名(総合型)
秋田医:秋田県地域枠20名(推薦)
福島県医:福島県内枠35名(推薦)
新潟医:新潟県内枠22名(推薦)
千葉医:地域枠20名(一般)
山梨医:地域枠35名以内(推薦)
岐阜医:地域枠28名(推薦)
名古屋市立:中部圏活躍型27名など地域枠37名(推薦)
三重医:地域枠30名(推薦)
奈良県医:地域枠25名(推薦)
愛媛医:地域枠20名(推薦)
山口医:地域枠など39名以内(推薦)
長崎医:地域枠30名(推薦)

人口10万人当たりの医師数が全国ワースト3に入る新潟県の新潟大医学科の定員は140名と国医最多であり40名が地域枠(内県内枠22名)と力を入れている。それでも足りないようで順天堂大・日本医大・昭和大、関西医大など私立11校に計28名もの新潟県地域枠を拡げ、私立医大の高額な学費を学生に貸与している。地域枠の拡大は知事の肝いりで、都会の私立医大から新潟に来た研修医に対しては義務年限途中での離脱を防ぐため、お客さんのように丁重にもてなしているらしい。最も安い順天堂大でも6年間の学費総額が2000万円かかり多額の県予算を投入している。

また札幌医大は道立大学ということもあって、北海道の高校出身者を定員110名中90名も募集するという超地元生優先入試を行っている。同様に県立の福島県医や奈良県医、市立の名古屋市医など県や市の裁量が大きい公立大学は地元生優遇入試を行う理由を付けやすい。その一方、県外から受けられる一般枠の募集が少ない(札幌医大はわずか20名)ので出願する際は定員に注意するべきだ。

東大医学科や京大医学科も全国枠で推薦や特色入試を設け、全国50の国公立医学科で推薦枠がないのは九大医学科のみ。その九医に毎年30名近く合格させる久留米大附設(母体の久留米大医学科には殆ど内部進学しない)の合格力は凄まじく、九州トップ中高一貫校の現役合格率は約3割と日本で最も国公立医学科に受かる確率の高い高校だ(愛知の東海高校は100名以上の国医合格者を出すが生徒数約420名と附設の2倍で合格率では劣る)。

地方国公立医学科への合格を困難にする一因に都市部の進学校からの降臨がある。受験生が最も多い首都圏には東大、東京医科歯科、千葉医、横市医など超難関の国公立医学科しかなく「北海道から沖縄まで受かればどこの国立大でも行く」という人が地方に降りてくる。開成、麻布、海城や女子高トップの桜陰など熾烈な中学受験を勝ち抜いた強豪たちが鉄緑会で2年先取りして攻めてくるので地域枠のような地元生を保護する仕組みがないとどうしても学力で負けてしまうのだ。

女子校最難関の桜陰が最多合格者数だった東京医科歯科大(TMDU)は今や阪大医学科と並ぶ日本トップ3の国立医学科だ。あまり知られていないが、茨城・埼玉・長野県内生対象の地域特別枠が計15名ある。毎年欠員を出すようだが共テの基準点は原則8割で前期の9割ボーダーからすると遥かに合格し易く、これら3県の医学科志望者はラッキーだと思う。旧帝や旧六など大学の格に拘る人もいるが大学の難易度は受験者層で決まる。東京の開成など最上位層が目指すTMDUを超えるのは東大理3・京都医しかないだろう。医科歯科までが慶応医とW合格した場合、慶医を蹴る分岐点らしい。旧六トップの千葉医だと殆どは私立医大最強の慶医を選ぶだろう。

大学入試改革の最前線で戦う講師の強みは英語力のみならず多様な入試方式で現役合格に導いてきた対応力だ。最新の入試動向をアップデートし、生徒の志望大学の2次英語への得点戦略を講義に組み込む。東大や国公立医学科など難関大学の指導は教える側の力量が問われやりがいのある仕事だと思う。日曜が前期試験の高3生を無事に送り出すことができた。祝日の今日は北は北海道から南は沖縄まで受験生が全国大移動する。国・数どちらも得意だが、より偏差値が出る数学選択で東京の最難関女子大に攻め入る文系女子、お受験ママさん達と一緒に新幹線や飛行機で岡山大に攻め込んでくる全国の強豪を自転車で迎え討つ地元の理系の生徒さん。必ずや合格を勝ち取ってくれると信じている。今後も変化に機敏に対応し、生徒さんの強みを最適化した現役合格戦略を提案していきたい。