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今年は韓国も岡山大学も入試が混乱するかも!?

Oct. 21, 2023 大学合格戦略

お隣の韓国は日本以上のお受験地獄だと言われる。日本では北は北海道から南は九州まで旧帝国大学が勢力を持ち、各地域の上位層の進学大学が分散されるのと違い、韓国では首都ソウル特別市の国立、私立大学に人気が集中し、韓国第2の人口を誇る都市にあるプサン大学は国立大でありながらソウルの私立大学よりは下位のランキングになるようだ。

世界最大級の半導体メーカーであるサムソンやLGに就職するためには韓国の東大である国立ソウル大学(S)、私立の早慶に相当する高麗大学(K)、延世大学(Y)、所謂SKYと呼ばれるトップ大学に入学しなければならない。それらに合格できるのが受験生の上位2%程度、さらに医学科は地方国立大学でも最上位の約3000名しか合格できない。ソウル大学の非医学部に一旦入学後休学し仮面浪人して医学部再受験を目指す人が100名以上いると言われるほど医学部崇拝が強い社会だ。

韓国の進学実績が高い高校では入試準備のため夕食も給食で出し、生徒は深夜まで科目毎に民間の塾を掛け持ちするという日本以上の過酷な受験生活を強いられる。その一因が日本の大学入学共通テストにあたる大学修学能力試験(修能)におけるキラー問題と言われる難問対策だった。ところが、11月の大学入試を控えた6月下旬に韓国政府が「キラー問題を大学入試から排除する」と発表して大騒動となっている。幼少期から一発勝負の大学入試に向けて週末も夜遅くまで塾通いをしてきた受験生はもとより、家計収入のかなりの割合を教育費に捻出してきた保護者側にも混乱と怒りが巻き起こり、塾業界も入試本番半年前にして過去問のない事態に大わらわだ。

混乱という意味では岡山大の英語外部試験C1レベルでの英語みなし満点導入も韓国と近いものがあると思う。グローバルプログラムで試行されていた1次+2次英語満点をまさか全学部で導入するとは思わなかった。特に自由英作文を始め英語の採点が厳しい医学部医学科は1点を争う勝負なので重大な入試変更となる。膨大な単語暗記が要される英検1級より達成可能性が高いTOEFL-ibtで95点、IELTSで7.0以上のC1レベルを取得した人は専門指導塾がある大都市圏には相当数いるはずで、その中の医学科志望者が何人受けてくるかで合格最低点が上がるだろう。それにしても地域間の教育格差、家庭の経済格差(TOEFLの受験料は日本円換算で約3.7万円、IELTSも約2.5万円)への懸念で文科省が共通テストへの加点を断念した経緯がある英語外部試験を地方国立大である岡山大が全面利用することには違和感を感じざるを得ない。

東大合格者を毎年70名以上出し共学校全国トップに登りつめた渋谷幕張(千葉)は小学6年までに英検1級合格は当然の帰国生が各学年1割を占め、医進コースを設ける広尾学園の中学入試で優遇されるTOEFLの合格者平均は100点前後らしい。3年前岡山医にIB枠で合格者を出した英数学館(福山)でもIB課程のTOEFL平均点は約100点でC1レベルの95点を超え、鷗州塾が運営するAICJ高校(何とTOEFLの広島会場に指定)には毎年英検1級合格者が30名前後在籍する。岡山大のみなし満点をもらえる生徒は大都市圏には相当数存在し、C1導入が決まってから旧六医トップの千葉医よりも岡山医を推す東京の医専予備校もある。岡山では英検1級合格者が少ないので地元の進学校はC1取得者の侵略に対してノーマークの様子だが、数学・理科を含めた共通テストで3倍の足切りを突破してくるC1受験生が他学部と共通問題の岡大数学・理科が全くできない訳はないので標準レベルの岡大2次で100点以上のビハインドを挽回できる点数差が残っているかが勝負となる。加えて、みなし満点となる共テ及び2次の英語対策の時間を理数科目に全振りできることもアドバンテージとなるだろう。

C1取得者は2次試験朝1時限目の英語を免除され、休養充分の体調で理科・数学の試験を受けられるメンタル面での優位性もある。問題は共テリサーチ判定や予備校の偏差値に表れないステルス攻撃になることだ。出願者が送付したC1資格で英語免除を認定する岡山大しか何名の受験生が英語みなし満点されるのかわからない。医学科など1点を争う最難関学部では合格地図を書き換えるような混乱が起こるかもしれない。英語満点で生まれる差を平準化できるのは厳しいと言われる2次英語の採点基準を調整できる岡山大だけだ。英語400点満点中上位で9割出るようにすればC1取得者と十分戦えるかもしれない。例えばC1取得者が相当人数集まり、入試結果への重大な影響が予測できる場合には、岡山大へ2次英語の採点ポリシーの調整を要望したい。地域枠推薦枠をIB枠5名増設のため中四国最少の4名まで減員した影響もあり岡山医の地元占有率は3割を切る状況だ。これ以上地元生に不利な入試改革を進めて地域医療は大丈夫なのだろうか?今春の入試で西大和、渋谷幕張、広尾学園、AICJなど帰国生の多い高校からの合格者が増えていれば全国からC1英語満点が狙われたと言えるだろう。