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医療系学部の志望者動向で薬学部志望が減少へ

Dec. 09, 2023 大学合格戦略

9月に約36万人が受験した第1回駿台ベネッセ共催共通テスト模試の結果を基にサンデー毎日が医療系学部の志願者動向をまとめていた。出生率が低かった現高3生の人口減の影響もあり前年同時期に行われた駿台ベネッセ模試の受験者数を100とすると、今年は国公立大学で97、私立大学が94と減っていた。

今年度ノーベル医学・生理学賞を受賞したmRNAワクチン開発や治療薬の開発など、コロナ禍で大きな注目を集めた薬学系は人気だったが、コロナの収束と共に今年の志願者は減少のようだ。系統別志望状況を見ると薬学部の指数は92となっていた。

薬学部には、薬の研究開発を目指す4年制の薬科学科と、薬剤師を目指す6年制の薬学科があるが、特にコロナ禍で人気を集めたのは旧帝大など難関国立薬学部を中心とした前者(今春塾生が最難関の京大薬学部に現役合格)。その志望者が減少したことが人気低下の一因だ。駿台は「主に国立大の薬学部は薬科学科を中心としてコロナバブルの沈静化が大きいが、各地方に乱立する中堅以下の私立大では薬剤師国家試験の合格率、ストレート卒業率の低さから数年前から志望者が減少していた」と言う。今年は薬学部志望者にはチャンスの年となるかもしれない。

薬学部の志望者が減少する一方、医学部医学科は、国公立大99、私立大100と堅調な人気を維持している。東進は「理系最難関の医学科を狙う受験生の多くは安易に志望変更はしない。現役生の人口減を考慮しても前年に引き続き志望状況が堅調ということは厳しい入試が続くことを意味する」と分析する。

歯学部歯学科は国立大では医学科と両にらみの受験生が多いため、私立医大並みに学費が高くコスパが悪い私立歯科大の指数は89と大幅減だが、国立大は105と増加傾向、医学科人気が堅調なこともあり滑り止めとして歯学科を志望校に入れる人も多い。ただ模試では歯学科合格の可能性を探るだけで実際に出願はしない場合もあるため、指数通りに志願者が増えるかどうかは未知数のようだ。

現行課程最後となる共通テストの確定志願者数は前回から約2万人少ない49.2万人、1992年以来32年ぶりに40万人台に落ち込んだ。現役生が前年比約3%減で、ほぼ18歳人口の減少幅に連動していた。加えて推薦・総合型入試など「年内入試」への移行と、思考力重視の出題で難化した「共テ離れ」が現役生減少の要因に上げられる。一方、現役生を上回る割合で減少してきた浪人生は前年の約7%減と比べると3%の減少に留まった。駿台は「大学に一旦入学して再受験を目指す仮面浪人が増えたのだろう。コロナ禍で制限されていた全国模試が通常開催となり、受験生全体の中での立ち位置が見やすくなった影響もある」と分析する。

特に医療系では、同じ国立大でも共テで100点以上ボーダーが低い歯学部歯学科に籍を置きながら医学科を目指す仮面浪人は一定数存在する。四国の私立中高一貫校から九州大歯学科に現役で入学した生徒は翌年香川大医学科に合格してきた。彼は九大の教養課程の単位を最低限取りながら福岡の駿台にも通うWスクール族だった。もし再受験する目的で国立歯学科で仮面浪人するのなら、大手予備校のない岡山大や徳島大よりも駿台・河合塾の校舎がある九大や広島大の方がお勧めだ。

医学科人気の底堅さは、科目負担増となる山梨医後期の志望者増にも見られる。24年度入試から理科・数学のみだった2次試験に英語が追加され3教科入試となるが、科目負担が増加しても志望者は増えている。このように入試科目の変更や前年の高(低)倍率の反動による志願者の増減はあるが、受験生が実際にどのように動くかは共通テストの平均点次第だ。河合塾は「国公立大医学科志望者は、共通テストの自己採点リサーチ結果を見てから全国を股にかけて大移動するため、事前の志望状況は参考値でしかない」と話す。

国公立大学医学科入試の前哨戦となる今年の防衛医大一次合格者が発表された。岡山県からの合格者が19名と高よびさんが浪人生に積極的に受験させる香川県の18名を上回ったことは驚きだ。広島県は15名、鳥取県1名、島根県は合格者ゼロだった。ここ数年5名以下に留まっていた岡山県からの防衛医大合格者がこれだけ増えたという事実は旧課程最後の「後のない入試」という危機感を持つ受験生が多いことの表れかもしれない。