地元国公立医学科に強い全国の高校(2025)
岡山大医学科(塾生1名合格)は県内生対象の地域枠を全国最少規模の4名しか採らず、県内の高校が多数合格させるのが困難な医学科の一つだ。一方、全国には青森・岐阜・長崎など30名以上定員がある県内出身者枠の地域枠推薦をフルに活用して地元の国公立医学科に15名以上の合格者を出した高校が22校あった(◎は私立、△は国立、防衛医大除く)
2025年度国公立医学科合格者数( )は前年度実績:
札幌南39名↓(44名):札幌医大17名
青森18名↓(24名):弘前大15名
秋田30名↑(28名):秋田大26名
△筑波大附属駒場28名↑(19名):東大理3(地域枠無し)15名
新潟30名↓(36名):新潟大21名
藤島28名↓(32名):福井大15名
浜松北27名↓(42名):浜松医大17名
岐阜35名↑(30名):岐阜大17名
膳所20名=(20名):滋賀医大16名
◎東海104名=(104名):名古屋大28名
◎高田28名↑(25名):三重大16名
◎洛南60名↓(68名):京都大(地域枠無し)16名
◎東大寺学園66名↑(46名):奈良県医大15名
高松31名↓(37名):香川大19名
松山東23名↑(14名):愛媛大20名
◎愛光46名↓(64名):愛媛大18名
◎久留米大附設56名↓(73名):九州大(地域枠無し)22名
◎青雲44名↑(36名):長崎大17名
熊本36名↓(44名):熊本大17名
大分上野丘30名↓(34名):大分大17名
鶴丸20名↓(40名):鹿児島大15名
◎昭和薬大附43名↑(42名):琉球大20名
これらから今春の傾向を分析してみると、
★地元特化した公立校が合格者数を確保した
地元の国公立医学科に15名以上合格させた高校数は昨年の15校から22校へ増加した。国立医学科が少ない首都圏など都会の進学校から「国公立大に受かるなら全国どこでも行く」現役志向の受験生が攻めてきたが、各地域のトップ公立高が15名以上採る地元国立医学科の地域枠をフル活用して防戦した。国医合格者の約8割が地元の医学科へ進学した青森(弘前医)、秋田(秋田医)、膳所(滋賀医)、松山東(愛媛医)、鶴丸(鹿児島医)などの各県トップ公立高が、1高校当たりの推薦枠一杯合格させて地元医学科を死守していた。特筆されるのは新潟高校の理数科だ。県内全域から神童を集め、2クラス80人を高2から医歯学系のメディカルコース、技術系のサイエンスコースに分ける。新潟県の医師不足を懸念する県教委の肝いりで設置されたメディカルコースでは学力強化のみならず医療現場の見学や講演会などの行事を取り入れ、私立中高一貫校の医進コース並みの力の入れようだ。
★最上位の私立中高一貫校が強かった
18年連続国公立医学科合格者数全国1位の東海は名大医学科、洛南は京大医学科、久留米大附設は九大医学科と地元の旧帝医学科を独占した。それ以上に東大理3に9名・京医に19名(全国最多)、阪医(塾生1名合格)に8名と国公立医学科合格者の半数以上が旧帝医学科という灘高校はレべチの学力だ。唯一対抗できるのは定員160名で全国最多の15名合格させた理3を含む東大117名、京都医2名、名古屋医1名、東京科学医3名と内容が半端ない東の王者、筑波大附属駒場ぐらいだろう。筑駒生は医学科より東大理1・理2志向だが、灘の理数に滅法強い男子学生たちが理3志向か京医志向かでその年の医学科受験地図が変わるくらいトップ校の影響力は大きい。
★新課程移行時の経過措置を利用できた浪人生が強かった
25年の新課程入試では今年のみ適用された経過措置で旧課程の数学、情報、地歴・公民が受験できた浪人生が健闘した。旧帝医学科志望者などの突き抜けた層は変わらなかったが、その下のレベル帯を目指してきた層が、共テ国語、英語R、情報Iの易化による合格ボーダーUpで安全志向となり山陰・四国などの地方国立医学科では落とし合いの競争が激化した。鉄緑会で高校課程を2~3周こなした都会の強豪たちの中にも地方の医学科まで落とす人が例年より増え、愛光、ラ・サールなど地方の中高一貫校の生徒でも競り負けていた。これまでも新傾向の出題が本格化するのは新課程2年目以降だったので、平均点が急落した22年度入試のような難化に警戒が必要だろう。5択から4択になって易化した本試ベースの模試の国語で高得点取って浮かれていると痛い目に逢うかもしれない。
厚生労働省は直近の医師偏在対策検討会で来年度からの医学科定員について「全国16の医師多数県の臨時地域枠定員を2割削減し、医師少数県に充てていく」方針を固めた。医師多数県(中四国では岡山・徳島・高知・香川・鳥取の5県)の地域枠の臨時定員は全国で約200名ある。その2割が削減され医師少数県(中四国では山口県のみ)の意向に沿って増員される方向だ。定員削減された県では地域枠推薦に出せなくなった地元の上位層が前期入試に流れ込んでくるだろう。岡山医の岡山県地域枠4名中3名は臨時定員で、もし削減されれば県内生に合格が保証される枠は1名のみとなる。また廃止が相次ぐ後期定員も今年度は山形医、佐賀医、旭川医大で30名近く削減され地元生を確保するため地域枠にまわされた。今まで以上に前期一般入試での医学科合格競争が激化することが予想される。
一方、医師少数県で国公立医学科最多140名の定員を要する新潟大医学科が26年度入試から40名(県内生枠22名+全国枠18名)と全国最大規模の地域枠のうち県内高校出身者の枠を廃止することを発表した。毎年20名以上の合格者を出してきた県立新潟、長岡高校などの公立トップ校にとっては衝撃だろう。県議会でも「県内高校からの新潟大医学科への合格者の激減、将来的に新潟県出身医師の減少が懸念される」との指摘があったが、新潟大は「出身地に係わらず優秀な学生を確保したい」とのこと。全国最少の4名しか地域枠を設けない岡山医と同様に旧六医大のプライドか?地元生優遇はしないようだ。新潟医の共テ配点は国語・社会を半分に圧縮する理系重視型で東京慈恵医大、日本医大など上位私立医大併願組が毎年攻めてくる。県内生の地元医学科合格確率が下がる突然の方針転換は大きな波紋を呼ぶだろう。同じ旧六医大でも長崎医は今年から前期一般枠10名を長崎県地域枠にまわして五島列島など全国最多の離島を抱える県内の地域医療を守る強い決意を示した。長崎医を受験する県外生は約13%合格確率が下がる計算となる。
英検合格を目標にしている塾ではないが、良問が多いので音読による速読力養成・リスニング力向上のため、2級と準1級の過去問を利用している。今年の第1回英検でも高2生2名が準1級一次合格(累計12名)してくれた!英単熟語は自学自習で覚えてもらっているので生徒さんの努力の賜物である。英検A?という岡山校もある英検専門塾からスカウトのお話もあったが、生徒一人ひとりの強みを活かす受験戦略で高い目標校を撃ち抜く少数精鋭塾を堅持したいので丁重にお断りした。教育をビジネスとする人達とは一線を画し、やる気のある岡山の高校生の皆さんと共に難関大入試の最前線で戦っていく決意だ。