2025年度国立医学科の予備校別合格者数(中四国編)
九州の雄「努力は実る」の北よびさんの国公立医学科+官立医学科(防衛医大・自治医大・産業医大の3校は重複合格有り)の合格者数がセンター試験の最終年だった20年度には294名に上り300名突破か?と思われた。が、その後失速して大好きな「合格者?名Up↑」の派手な広告も打てなくなった。22年は216名、23年は227名、そして25年は206名へと年々減少傾向となっている。地頭勝負の共通テストに変わってから、浪人して時間をかけても点数を上げにくくなっている仮説がここでも証明されている。1名でも増やすため集計に時間をかけていた2大予備校がようやく発表してくれたので中四国の9つの国立医学科の予備校別合格者数をまとめてみた。
岡山医:
河合17名(17名)>駿台15名(21名)>高よび12名(16名)>岡山S学院3名(4名)
広島医:
河合46名(53名)>駿台39名(47名)>高よび6名(4名)
鳥取医:
河合28名(30名)>駿台14名(24名)>高よび10名(6名)>S学院1名(2名)
島根医:
河合12名(24名)<駿台14名(20名)>高よび7名(4名) >S学院1名(0名)
香川医:
河合24名(12名)<駿台28名(18名)<高よび26名(33名)>S学院1名(2名)
徳島医:
河合13名(23名)<駿台21名(21名)>高よび6名(9名)
高知医:
河合26名(35名)<駿台28名(18名)>高よび11名(10名)>S学院2名(2名)
愛媛医:
河合18名(25名)<駿台32名(32名)>高よび13名(16名)
山口医:
河合23名(27名)>駿台18名(18名)>高よび1名(0名) >S学院1名(0名)
★中四国9国立医学科合計:
河合205名(233名)<駿台211名(255名)>高よび87名(100名)>S学院9名(9名)
これまで中四国の医学科合格者数トップに君臨してきた河合塾が6名差ではあるが駿台に抜かれた。広島にしか校舎がない河合塾・駿台のこの数字は中四国以外の他県からの合格者がいかに多いかを示している。昨年は中四国の医学科に集中投下して100名の大台に乗せ退潮傾向に歯止めをかけた高よびだが、今年は地元大票田の香川医、四国の愛媛医、徳島医、そして中四国最難関の岡山医で合格者数を減らし、北よびが校舎を置く山口医を除く8医学科で合わせて昨年比1割以上の減少だった。2025年度は岡山県内の高校から四国の4医学科への合格者数が半減していたが、200名超えした2大予備校の数字を見ると都市部から相当数の浪人生が旧課程の経過措置最後の入試で逃げ切りを図るため中四国の国立医学科に志望を下げてきた模様だ。少子化で受験が楽になったと言われるが、浪人が合格者の5割を占める医学部医学科だけは別世界で現役で合格するのは至難の業だ。
データおたくの講師にとってショックなことに、駿台予備学校が2026年度入試より大学合格者数の掲載を取りやめる方針を明らかにした。近年、受験生の学習スタイルは多様化が進み、複数の塾・予備校の併用などにより、東大の一般選抜の合格者数で主要予備校の合格者数を合算すると実数を大きく超過する結果となり「意味のない形骸化した数字となっている」との判断によるものだ。岡山校もある医専予備校のように推薦入試対策など無料講習を受けた人や単発の対策講座を取っただけの人も含めて合格者数を盛るのはどうなのか(半年以上の在籍がないと塾生として数えないのが一般ルールだが)高額な私立医大コースで儲けているのにフルの予備校生ではない国立大に受かった一見さんを広告塔にして客寄せしている業界の闇が見える。
高よびさんの国立医学科合格者は99名前後(重複合格で水増しできる防衛医、自治医、産業医を除く)だったが、防衛医大の合格者(正規&補欠)が極端に少なく4名(1名は岡山医に進学した元塾生)しか出なかった。これは国公立医学科に落ちて防衛医大に進学した人が多かったことを意味する。25年度の国立医学科入試はそのくらい激戦だったのだろう。時間をかければ伸ばせたセンター試験とは別物の表層的な対策が効かなくなった思考力重視の共通テストに変わったのも浪人生の合格率が伸び悩んでいる要因の一つだろう。同じくスパルタ寮で有名な九州の北よびも重複合格で数字を盛れる官立医学科3校の約50名を除く真水の国医合格者数は150名(九州の8医学科+山口医で127名)を切っていると予想される。
河合塾の全統共テ第2回模試は約32万人が受験する夏の一大決戦だ。直前演習で準備してきたが、広大福山・岡山朝日の生徒さんが190点台で校内1ケタを取ってくれた。更に新課程2年目の難化対策で難しめの東進共テ模試を連戦してもらったが、上記の2名が5年間全く歯が立たなかった東大医学部卒のパスラボU氏に英語で勝利した!記述模試は各大学の2次試験の傾向と違うので参考にならない場合も多いが、共通テスト模試は本番の得点とかなり相関性が高いので共テ配点の高い国立医学科志望者には大切な指標となる。今年のエースは初の1次・2次ドッキング判定となった進研共テ&記述模試共に旧帝大を含む難関国立大医学科の3校で全国1位という完全無欠な医学科受験生に成長してくれた。ベネッセは志願者約300名中4名ずつしかA判定(合格可能性80%)を出さなかったが、決して奢ることなく苦手科目を強化して2割の失敗リスクを消す努力を怠らない。受験の世界のウサギさんは止まることなくゴールするので追いつくのは困難だ。出願校決定に重要な模試となる駿台ベネッセ共テ模試に向けて更に精度を上げていってもらいたい。