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昨年の国公立医学科入試は地方の現役生にとって厳しかった

Dec. 24, 2025 大学合格戦略

国公立医学部医学科の受験者数は2010年代前半~半ばに情報系を中心に旧帝大の理工系学部に理系上位層が流れて減少傾向が見られる時期もあったが、コロナ禍における医療への関心と地元志向の高まりが医学科人気を押し上げた。実際2025年度も国公立医学科の前期志願倍率は前年の4.44倍から4.47倍へ上昇していた。なお、昨年度の国立医学科入試では下記のような波乱要素も多かった。

◎都会の中高一貫校から地方医学科へ降臨
最後の旧課程入試で決めたい関東・関西の中高一貫校から中四国の国立大医学科にも容赦なく落としてきた。主な有名校は次の通り、
徳島医:四天王寺4名、高槻(大阪)・甲陽学院3名、県立千葉・湘南(神奈川)2名
香川医:須磨学園(兵庫)5名、滝(愛知)・帝塚山(奈良)・札幌南2名
高知医:都立戸山3名、豊島岡女子(東京)・浅野(神奈川)・須磨学園2名
愛媛医:高砂白陵3名、フェリス女子(神奈川)・須磨学園2名
島根医:ノートルダム清心(広島)3名、東京学芸大附属・土浦第一(茨城)2名

一昨年も徳島医には甲陽学院から4名、灘・洛南から各3名など旧課程最後の入試で全国の進学校から容赦なく志望を落としてきて四国の国立医学科は3大学で足切りが数百名出るなど壮絶な戦いとなった。今春は神戸の須磨学園から岡山医に2名、四国の4医学科に合計9名も合格していた。数年前までは岡山医に最多合格者を出していた播磨地区トップの高砂白陵が落ち目なのは中学偏差値で猛追する須磨学園にトップ層を奪われているのが一因であろう。岡大医学科も旧帝医学科を目指していた多くの浪人生が旧課程の経過措置最後の年で決めるため落としてきたことに加え、英語C1での1次・2次英語みなし満点認定者の参入など変数が多く、広大福山・岡山白陵・大安寺中教の理系1桁の2人目、3人目が競り負けていた(各校岡医現役合格1名のみ)。理系最難関の国立医学科入試では地方に下りても現役で受かる大学を選ぶ都会の受験生が増えた。全国乱れ打ちの動きが競争を激化させ地方生の地元国立医学科合格が地域枠推薦以外では困難になっている。

地方の国立医学科合格が難しくなってきている背景に2つの要因が考えられる。
★首都圏など大都市圏から強い受験生が地方医学科に下りてくる
日本の人口の約3割を占める東京・神奈川・埼玉・千葉4都県には東大理3、東京科学(旧医科歯科)大、千葉大、横浜市大の4つの最難関国公立医学科(定員約400名)しかない。厳しい中学受験を勝ち抜いてきた医学科受験生は地方の国立医学科を視野に入れるしかなく、鉄緑会の指定校である東京の筑波大附属から現役で香川医推薦、豊島岡女子から高知医2名、神奈川のフェリス女子から愛媛医2名など都会の有名中高一貫校の生徒がどんな田舎の医学科にも攻めてくる。
★理系上位の女子医学科志望者が増えている
2018年の東京医大などで起こった医学科女子差別問題の発覚から入試が透明化され理系女子が勇気を持って医学科に挑戦するようになった。2020年代に入って特に男子生徒が受かりにくくなっている感があるのは、現役志向の強い理系女子が合格してきているのも一因だろう。岐阜医や滋賀医大などは合格者の半数を女子が占め、中四国高校偏差値トップの広大福山の理系上位の女子さんは東大理系、京大・阪大など旧帝大の薬学部志望を除き、その大半が国公立医学科志望だ。

河合塾の本番前最後の国公立医学科合格ボーダーも前回と変わらず、既に合格圏入りしている人は最後の調整ステージだ。私立医学科では今年度学費を3割(約800万円)も値下げした藤田医大が偏差値67.5に急伸し伝統校の大阪医科薬科と並ぶ勢いだ。国立大の10倍学費がかかる私立医大では値下げで西日本最高偏差値を奪った関西医大や逆に値上げでK医科大と並ぶ全国最低偏差値に落ちた東京女子医大のように学費と偏差値は反比例する。

11月の財務省の財政制度審議会では、2029年から2032年で医師の需給が均衡することが確実となる中「思い切った医学部定員の適性化」その方策の一つとして「医師国家試験の合格率により医師数をコントロールすること」が提言された。2008年頃から地方での医師数の偏在解消対策として地域枠を中心に増やされた臨時増員分、期限切れとなった定員の延長(今年度は認可)が打ち切られる方向となった。医師多数県の定員が減ると国立医学科に合格することが更に難しくなっていく。また現在9割以上の合格率で推移する医師国家試験が難しくなれば、下位私立医大で低偏差値の人がいくら頑張っても相対評価で医師免許が取りにくくなっていくだろう。

高3生は駿台ベネッセ最終模試でも広大福山及び岡山朝日唯一の英語200点満点、大安寺中教でもリーディング満点と今年の6期生は自己ベストを更新し上々の仕上がりだ。男子の高知医総合型合格に続いて女子さんが別の国立医学科学校推薦型の一次選抜を突破してくれ最終合格まで1.3 倍、是非とも共通テストで決めて欲しい!理系エースくんは駿ベネ・全統共テ・記述模試と3連戦で関西の難関医学科及び岡山医で浪人も含めた志望者順位1位と圧倒的なので今年の第6期生の医学科志望者は全員合格の可能性が見えてきた。昨年まさかの国立医学科残念だった英数最強のエースさんも今年は間違いなく第5期生の全員合格を完成してくれると信じている。

下級生も伸びが物凄く残酷模試と言われる駿台全国模試では岡山トップ公立2校の塾生がそれぞれ英語校内2位、7位、秋の進研模試でも岡山朝日で駿ベネ模試2回連続1位取ってくれた先輩の94点を3年ぶりに更新し、県内約7千人中2位で朝日320人に完全勝利(大安寺生が1位2位独占)と、複数の高3生が全国模試校内1位を取った広大福山・岡山朝日に続き大安寺中教でも英語トップを狙える勢いだ。良い成績を取った塾生はみんな喜んで報告メールを送ってくれるので毎回楽しみにしている。結果を出すのが使命の受験塾としては健全な状況だと思う。もちろんこれらの結果は難関大学を目標に自学自習を頑張ってくれる生徒さんの努力の賜物だ。

できるようになる子と伸びない子の差は、自分に必要なことは何かと考えて行動しているかどうかだと考える。1週間のうち2時間だけ塾に通わせて何かが劇的に変わることはまずないだろう。自学自習の時間の方がどれほど大事なことか(当塾では課題は最小限して生徒の時間を奪わない)。本人がやらないとできるようにならないのが勉強の本質であって、学校の教師や塾の講師はナビすることしかできない。が、過酷な受験の最前線で生徒さんが成し遂げた奇跡を一緒に喜ぶことができる。 先日高知医に合格した朝日男子くんのお母様に約3年ぶりにご挨拶できたが至福のひと時だった。年末年始も返上して全員の合格番号を見届けるまで併走していきたい。