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2025国公立医学科合格者ランキング(合格者総数)

Apr. 26, 2025 大学合格戦略

大学入学共通テストが開始された2021年度入試から毎年定点観測しているが、今春の国公立医学科合格者ランキング(防衛医大を除く)が発表された。現役+既卒合格者数のトップ10は次の通り(◎は私立)
1.◎東海:104名↓(昨年110名)
2.◎東大寺学園:66名↑(46名)
3.◎開成:64名↑(53名)
4.◎洛南:60名↓(70名)
5.◎滝:59名↑(48名)
6.◎甲陽学院:59名↑(43名)
7.◎灘:59名↓(70名)
8.◎久留米大附設:56名↓(74名)
9.◎西大和:53名↑(31名)
10.仙台第二:48名↑(42名)

東北No.1公立の仙台第二を除きトップ10は全て私立中高一貫校が占めた。愛知の東海は104名と唯一3桁の合格者数を出し18年連続トップ、地元の名大・名市大、近隣の浜松医大、岐阜大、三重大で大量合格させていた。2位は昨年比20名増の東大寺学園、今年は国公立医学科シフトしたが200名の卒業生のほぼ半数が東大・京大理系や医学科に合格した。3位は昨年から12名増の開成とトップ3は私立中高一貫男子校が占めた。東海は名古屋医28名(一つの高校の国立医学科占有率最多)。開成は千葉医21名、東京科学(旧医科歯科)12名と最難関医学科で圧倒していた。

前年から増やした高校を見ると、旧六医トップの千葉医に最多合格させた開成が12名増、地元の奈良県立医大に15名合格の東大寺学園が20名増、地元の神戸医14名合格の甲陽学院が16名増と特に私立中高一貫男子校での増加が顕著だった。理系男子に人気の東大理1、理2が足切り倍率を厳格化した(700名の志願者減)のが影響したのか、或いは理系男子がやらかしがちな国語が易化し医学科合格に有利となる共通テストで高得点が取れたのが影響したのか?東大から国公立医学科に流れた様々な要因があるのだろう。

私立共学校では近年西日本で灘に迫る東大合格者数を出してきた9位の西大和が国公立医学科合格者22名増やす中、東大合格者数は27名減と東大寺と同様に医学科シフトしていた。5位まで上げた滝高校も岐阜15名、名古屋市立9名で稼ぎ11名増と中部地方No.1共学校の実力を見せた。一方、東大理3(9名)と京都医(19名)で前年比9名減らした灘高校は医学科計で11名減、関西中学入試トップ女子を擁する洛南は地元京都医(16名)は増やしたものの、近畿地方以外の地方医学科で減らし14名減。中四国医学科合格者数No.1の愛光も17名減らし、国医合格者数3位だったラ・サールは何と36名減でトップ10外に沈んだ。九州の8医学科ではラ・サールの浪人生が死に物狂いで復活を目指し、中四国でも愛光の浪人生が必死で志望を落としてくる。これらトップ中高一貫校の強い浪人生は現役生の合格を阻む圧力となるので今年は戦略的に出願校を選ばなければやられるだろう。

先取り学習を徹底する私立中高一貫校が医学科入試で強さを見せる中、公立高で唯一ランキング入りした10位の仙台二高は前年比11名増やして48名だった。地元東北大は13名と推薦宮城県枠と現役対象のAO入試で稼ぎ、隣県の山形医も地元トップの山形東と並ぶ10名と全国最多で北日本の国立医学科に万遍なく合格させていた。新設された東北医科薬科(学費が安い東北地域枠が多い)に22名合格とスベリ止め校が仙台市にあるのは強みだろう。昨年44名と公立Wトップだった札幌南は札幌医大20名で稼いだが5名減の39名で17位、熊本は8名減らし36名で21位、42名で公立3位だった浜松北も27名へ15名も減らしていた。既卒生が21名合格した岡山朝日は岡山医地域枠欠員募集前で32名の30位とトップ30入りしていた。

今年度、私立、公立を問わず地方の高校が地元国立医学科を守れなかったのは西大和・東大寺学園、甲陽学院などの関西トップ私立中高一貫校が足切り倍率が厳しくなった東大から国立医学科にシフトしてきたのも要因となるだろう。これら3校は全国20大学以上の医学科に幅広く合格させ「国公立医学科に受かればどこでも行く」戦略で、中四国9県の各国立医学科にも2名前後ずつ合格者を送り込んできた。地元の医学科受験生も関西トップ校レベルの学力を身に着けておかなければ競り負ける。医学科入試では校内順位はもとより県内順位だって当てにならない、全国を股にかけて限られた席を約4倍の倍率で奪い合う壮絶な椅子取りゲームと化している。

昨年国医合格者ランキング3位だったラ・サールが36名、6位だった愛光が17名、9位だった桜陰が10名、10位だった海城が11名減らしてトップ10から外れたことからも国公立医学科入試の厳しさが見てとれる。女子校全国No.1や九州男子校No.1、中四国No.1の中高一貫校でも年によってはすべることもあるのが医学科入試の難しさだ。桜陰は東大合格者も減らし、渋谷幕張や都立日比谷などのトップ共学校人気の影響を受けていることがわかるが、ラ・サール、愛光など学生寮を備え全国中から優秀な生徒を集める中高一貫校がなぜか今年不振だった。このラ・サール、愛光ショックは西日本の現役生に圧を加えそうだ。紙一重の競争となる医学科入試では毎年変化する受験動向を的確に読むことも重要だ。今年も情報戦に強い塾として全国どこの大学に受かりそうか模試毎に把握しながら各人に合った入試形式、志望校の選択など戦略的に生徒さんをサポートしていきたい。