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2025国公立医学科現役合格率ランキング

May. 02, 2025 大学合格戦略

大学入学共通テストの平均点Upもあって25年度の国公立医学科一般入試の志願者は共テ自己採点リサーチ段階で前年を12ポイント上回っていたが、実際は前年を5ポイント下回る志願者数だった。駿台は「共通テストの平均点Upによって志望医学科の目標ラインが高くなり過ぎたため、あきらめるという受験生の安全志向が影響したようだ」と解説する。出願状況を地域別にみると8校の国公立医学科が集中する近畿を中心に医学科志向が強く西日本では志願者が増えていた。

前回の現浪含めた合格者数に続いて国公立医学科の現役合格率のランキング(重複合格可能な防衛医大合格者を除く)は次の通り、トップ10は全て私立中高一貫校が占めた(◎は私立、△は国立)

1.◎東大寺学園:21.5%(現役合格43名)
2.◎北嶺:20.5%(24名)
3.◎久留米大附設:20.1%(41名)
4.◎甲陽学院:17.6%(35名)
5.◎灘:16.8%(36名)
6.◎東海:15.3%(58名)
7.◎大阪星光学院:13.5%(23名)
8.◎桜陰:13.5%(30名)
9.◎昭和薬科大附属:12.8%(23名)
10.◎青雲:12.6%(25名)

昨年度、国公立医学科現役合格率全国1位に躍進した北海道の北嶺を追い落としたのが奈良の東大寺学園、関西では灘に次ぐ難関男子校だが、今年は現役合格者13名増で5人に1人が国公立医学科に現役合格していた 「東大、京大共に合格者数を減らしたが、元々医学科思考が強い生徒が多く25年卒の学年は特にその傾向が強かった」と同校の進路指導部長は言う。2位の北嶺は学生の過半数を住める寮生のうち半数以上が北海道外出身で全国から医学科を目指す男子が進学してくる。札幌医大、旭川医大など道内の医学科で稼ぎ卒業生の約2割を国医に現役合格させていた。3位は九州私立No.1の久留米大附設、前年から8名減らしたものの医学部志向の高い女子が引っ張り20%台を維持した。同校は「優秀な女子が安定感のある資格である医師を目指す構図は変わらないだろう」と語る。4位は甲陽学院、5位は灘とランキング上位を西日本の私立中高一貫校が占めた。今年は特に国公立医学科の選択肢の多い近畿地区では志願者数が増えていた。また「私立医大が集中する東京など首都圏の受験生にとっては東京慈恵医大、日本医大、学費が安い国際医療福祉大や順天堂大など上位私立医大も選択肢に入ることが国立医学科ランキングに影響を与えている」と大学通信は指摘する。

国公立の高校で現役合格率トップ(11位)だった筑波大附属駒場は2019年以来の東大合格100人超え(117名)に達し、最難関の理3でも15名(現役14名)と昨年12名で並んで最多合格だった開成、桜陰、灘を寄せ付けなかった。理3の他は東京科学3名、京都医2名、名古屋医1名など旧帝医レベルが国公立医学科合格者28名中2/3を占めるレべチの内容だ。筑駒は麻布(東大79名>国医15名)と並んで東大志向だが、もし万一医学科志向に転換したら地方医学科など簡単に奪い取るであろう。恐ろしいパワーを秘める高校が医学科に目をくれないでいてくれることは幸運だ。現役合格率を見るとトップ10を占めた私立中高一貫校の優位さが目立つ。各高校へのアンケートを実施した大学通信は「公立高の場合浪人率が高い高校が多い(岡山朝日は現役12名<浪人21名)医学科入試では共通テストと2次試験ともに高い完成度が求められるので、6年間のアドバンテージを活かせる中高一貫校が有利でトップ30中26校を占める」と解説。入試は構造上相対評価なので出題範囲を1年以上先取りする私立中高一貫校勢に追いつける公立高校受験組の生徒は少ない。

私立高校は灘、桜陰など東大合格者数も多い高校が並んだが、2位の北嶺、13位の徳島文理のように小規模校で生徒数が120名以下の高校もランクインした。公立高校は定員400名の県立熊本や320名の岡山朝日など、母数が多いので合格率は低くなる。中学入学偏差値はFランの徳島文理は東大理3に3年連続合格、現役生が2年連続慶応医W合格と中四国ではトップクラスの生徒を輩出している。

私立有利の中、今年の国公立医学科で現役合格者数1位の公立高校は仙台第二の30名、2位が岐阜の24名、3位が札幌南と藤島(福井)の23名だった。各校とも東北大(13名)、岐阜大(17名)、札幌医大(17名)、福井大(15名)と地元医学科に全国最多の合格者を占めている。いずれも地域枠推薦・総合型(AO)選抜で相当数を採る医学科のある県にあるのが強みだ。近年は都会の私立一貫生が現役志向となり全国の地方医学科にも全方位攻撃してくるので、県外生が受けられない地域枠で人数を確保しないと合格者数は伸びない。来年度から長崎医は前期定員を10名減らし推薦の長崎医療枠にまわす。山形医も地元の医師確保のため後期15名を廃止して地域枠・一般枠推薦を増員し、北日本で残る後期入試は秋田医の20名だけになってしまった。地域枠を4名しか採らない岡山大と違い長崎大も山形大も地元に残ってくれる生徒を何としても死守したいようだ。今年は現役合格率トップ10の東海、灘、東大寺など7校から岡山医へ落として合格してきた「各県トップの公立高には優秀な生徒が集まる。地方によっては高レベルの私立一貫校が無いことも3年間で結果を出せる理由だろう」と駿台は分析する。

コロナ禍後も先行きが不安な経済情勢が続く中、女子だけでなく理系トップ層全般の医学科人気が上がっている。国公立医学科の前期一般選抜の志願者はAI分野など情報系の理工学部人気もあり2010年代半ばから減少傾向にあったが、共通テストが導入された2021年度入試で増加に転じ、25年度も前年並みの出願で医学科人気は全く衰えを見せない。国医現役合格者が40名以下に激減した岡山の高校からも浪人が多数出たが、昨年国医現役合格率3位(今年26位)のラ・サールが九州8県の医学科に、同9位(今年27位)だった愛光のギリ落ちした浪人生が中四国9県の医学科に死に物狂いで合格を取りにくることが予想され、両校の生徒が受験する地域の国立医学科は昨年度以上の激戦になるだろう。次々と無くなる後期入試も山形医(15名)と旭川医(8名)が廃止となり共通テストで9割近く取っていないと後期復活の道も閉ざされてしまった。当塾では今年度も理系3名が国公立医学科を目指しており西日本での競争激化にいかに抗うか、文系の生徒の最難関私立大へのAO受験も含めて、各生徒さんの強みを活かした現役合格戦略を日夜考える毎日だ。